幻の森。
3年前に撮影した森。以前はほとんど人が立ち入る事は滅多に無かった場所。撮影者は私以外に数人程度であった。しかし、いつしか十数人の人々が日々入るようになってしまった。私は遊歩道脇で撮影していたが、大勢の人がヒメボタルが生息している草むらの中へズカズカと平気で立ち入っていた。ヒメボタルを撮りに来てるのに自ら足で潰しているようなもので、心なき撮影者に心を痛めていった。
そんなこともあって、地元の人によって、この年にこの場所は立ち入り禁止区域となった。もう撮れなくなったけど、それで良かったと思っている。どんどん荒らされていく中で撮るよりも、誰も入れなくしてヒメボタルを守る。その結論を私は支持する。
それで考えると、相生山はとてもマナーが良い。地元の人らが有志で観察会を開き、注意喚起を促しているので、誰も森の中でライトをつけたりする不心得者はいない。知らずにライトをつけてやってくる新参者の人々には、誰とも無くやんわりと、ここは消さないといけないよと優しく促してくれて森の中での規律が守られている。
全国津々浦々とヒメボタルのポイントに訪れるけれど、酷い場所はほんとに酷い。光害が起こりヒメボタルの生態が脅かされている。そういった場所はいくら撮影場所として良くても足が遠のく。自分が不心得者と一緒になって撮っている自分自身が嫌になるからだ。
今年はコロナ禍で多くのカメラマンは出かけない選択をすると思う。ヒメボタルにとってはその方が良いのかもしれない。でも善良なカメラマンは自粛して、不良カメラマンはまた森を荒らしに来るのかもしれない。
立ち入り禁止となったこの森。今では誰にも邪魔されることなく、光り輝いていることであろう。いつまでもそこにヒメボタルが棲息し続けることを祈るばかりである。
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